News&Topics Greeting Call for paper Adoption Program Hall guide Information Day nursery Hotel&Tours

 会長挨拶



第23回日本頭頸部外科学会総会・学術講演会
会長 黒野祐一

 第23回日本頭頸部外科学会総会ならびに学術講演会を平成25年1月24日(木)と25日(金)の両日にわたり、鹿児島市の城山観光ホテルにて開催させていただきます。歴史のある、また、特定非営利活動法人となり専門医制度が設けられて会員数も一段と多くなった本学会を主催させていただくことに、本学会の理事長をはじめとする役員各位および会員の皆様に心より御礼申し上げます。
 本学会は、耳科学、鼻科学、口腔・咽頭科学、喉頭科学といった耳鼻咽喉科領域に加えて、境界領域である頸部や頭蓋底、機能再建、リハビリテーションなどの分野を包括する専門的な外科学の構築を目指して設立されたもので、耳鼻咽喉科領域における横断的な学会であるとともに、他の領域への発信源ともなるきわめてユニークかつ重要な存在であると認識しています。一方、この4半世紀の間に、医療の現場には大きな変化が生まれつつあります。一つは医療機器の進歩によって癌の早期発見が可能となり、それに呼応するようにビデオ内視鏡やロボット手術による非侵襲性の保存的手術が発達してきました。また、化学放射線治療の成績が向上し、外科的治療が不要となる症例も年々増加しています。患者さんの立場からは大いに歓迎されることではありますが、そのため若い医師が従来の手術術式を経験する機会が少なくなり、その手術手技を学ぶことが難しくなってきました。ところが、化学放射線治療後のサルベージ手術は熟練した頭頸部外科医にとっても容易ではなく、非常に高度の技術が必要とされます。また、超高齢化社会を迎え、手術や化学放射線治療の適応についてもより慎重な判断が必要とされるようになってきました。
 そこで、今回の本学会では、「頭頸部外科学における匠の技」をテーマとして、「シンポジウム1:経口的手術の現状と未来」で現在もっとも注目されているこの手術術式について討論し、「シンポジウム2:高齢化社会における頭頸部癌手術の適応と留意点」では高齢者の治療における問題点を考えてみたいと思います。また、パネルデイスカッションでは、頭頸部外科医の的確な判断と手技が大いに生かされる「頭頸部重症感染症」について参加者をまじえた討論を計画しています。そして、アドバンストコースは「私が伝えたい匠の技」と題して、各分野を代表する先生方にその卓越した手術手技を披露していただき、教育セミナー(頭頸部外科の基本手技)では、若手医師向けにそれぞれの手術のポイントを分かりやすく解説していただきます。さらに、教育講演では、ニューテクノロジーを用いた手術指導の新たな試みを紹介していただき、海外招聘講演として、Chang-Hoon Kim先生に延世大学における鼻科手術の教育プログラムについて講演していただきます。特別講演は、司馬遼太郎の小説「故郷忘れじ難く候」での主人公となった薩摩焼宗家沈壽官十四代の長男である十五代に、「陶房雑話」と題して、その秘められた匠の技とその伝授にまつわるお話をしていただく予定です。
 鹿児島ではこの時期、桜島の灰は降っても雪が降る心配はまずありません。また、平成23年3月に九州新幹線鹿児島ルートが全線開業し、新大阪〜鹿児島間の乗り換えは不要です。この機会にぜひとも多数の皆様にご来鹿いただき、学会会場での熱い討論、そして南国鹿児島の冬の風情と芋焼酎のお湯割りや黒豚などの薩摩の味覚を堪能していただきたいと願っています。